а 目次 Contents т а о 004 はじめに мЩ 005 曲頸類と潜頸類 Н 006 カメ類の分布と気候区 Н 008 カメの体 010 生息環境 4 0 012 採食 3 014 繁殖時の求愛行動と交尾 1 s 016 産卵と卵 i 018 孵化と仔ガメ o m 020世界のカメ o - 022 リクガメ科 060 曲頸亜目(ヨコクビガメ科・ヘビクビガメ科) g 124 潜頸亜目(カワガメ科•ドロガメ科・カミッキガメ科・ n オオアタマガメ科•スッポン科•スッポンモドキ科) v a n m n 一 18! 潜頸亜目ウミガメ科 186 潜頸亜目ヌマガメ科 23? 潜頸亜目イシガメ科(バタグールガメ科) 30Уカメ類の飼育 コラム 043 脱走したカメなど屋外で見かけないカメを見つけたら 059 カメの入手方法 119 カメの選びかた 123 これまで行ったカメ類の交雑個体の繁殖実験 160 アジア産のカメ類について思うこと 318 カメに関する法律 はじめに 人気が高く、広く市民権を得ている。仔ガメと なると、その小さい体つきや仕種の愛らしさ、 一般的に敬遠されがちな爬虫類の中で、力 成体以上の色模様の美しさでさらに人気は高 メの仲間はわれわれ日本人に最も親しまれて い。特に日本では「鶴は千年、亀は万年」と いるように感じる。その独特な外*見によるもの 長寿信仰の対象として、また、「ウサギとカメ」 なのだろう。彼らの多くは体全体が硬い甲羅 の童話の影響からもよく知られた対象であり、 で被われ、背甲が種によってドーム状や扁平 親近感が持たれ人気を底上げしている。東洋 •な形状をしていたり、1〜3本の大小のうねが 区においても、神仏化や縁起物•漢方薬とし 入る、または縁甲板の縁に突起を持つものな て扱われるほか、食用とする民族も多く、カメ どがいる。腹甲が前後に分かれて可動し、背 は古来から世界の東西を問わず、人類にとって 甲と合わさって箱状になるカメも知られている。 身近な存在となっている。 色彩や模様もいろいろで、頭部•四肢・甲羅に カメ類の出現は爬虫類の中では最も古く、 入るそれらは種や個体ごとで多様であり、外 三畳紀後期には基本的に現生のカメ類とあま 観だけとってみてもじつにさまざまだ。それゆ り変わらない姿形を持ち、硬い甲羅で身を守 え、広く好まれ、ペットとしてまたはコレクショ るという他の動物では見られない特殊化した ンの対象として、他の爬虫類とは別扱いされ、 防御法を進化の過程で見い出し、現生のカメ 004 Turtle and Tortoise of the World 対に引き継がれている。重く硬い甲羅は一見 頸を縦に曲げ、S字型に甲羅内に引き込み収 不都合に見られるが、水中ではその重さはさ めるグループのこと。曲頸類は原始的なグルー はど問題なく、身を守ることを優先した進化と プ(ヨコクビガメ科•ヘビクビガメ科)で主に いえる。現在、種としては他の動物群に比べ 南半球に分布する。潜頸類はより進化したグ 小グループであるものの、極寒地を除き世界 ループで世界中に広く分布し、種数も多く繁栄 に広く分布し、多様化した形態•生態で繁栄 している。ただし、その中には引き込みがで してきた。一方で、特殊な甲羅を持っているお きない種(ワニガメ・オオアタマガメ・ウミガメ かげで多くは移動能力に乏しく、さらに急激 類など)も含まれる。日本においては潜頸類 な環境変化に弱く、人類の環境破壊や乱獲に の種(クサガメ・ニホンイシガメ •リュウキュウ より、近年急激に減少しているのも実状だ。 ヤマガメ・ヤエヤマイシガメ・タイリクミナミイ シガメ •ヤエヤマセマルハコガメ •キョクトウスッ 曲頸類と潜頸類 ポン•ミシシッピアカミミガメ)しか生息して いないため、曲頸類は馴染みがなく、動物園 現生カメ類は、曲頸類と潜頸類からなる。 や爬虫類専門店でしか見ることができない(探 曲頸類とは頸を横に曲げ、背甲と腹甲の間 タイリクミナミイシガメとミシシッピアカミミガメ に収めることのできるグループで、潜頸類とは は外来種)。 齒頸類の顔(カブトニオイガメ) Turtle and Tortoise of the World 005 カメ類の分布と気候区 ることからその行動は外気温によって左右さ れる。そのため、熱帯から温帯地域にその多 現生カメ類は世界に300種ほどが知られ、 くが集中している。 ツンドラや両極島を除き世界に広く分布する。 潜頸類より古い曲頸類(ヨコクビガメ科•へ カメ類も爬虫類の一員であり、変温動物であ ビクビガメ科の2科のみ)は主に南半球に分布 006 TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD し、ヨコクビガメ科は熱帯アフリカ•南アメリ ア大陸のアジア•アメリカ合衆国から中米にか けて、多様な種ふ繁栄している。ウミガメ類は 力中北部に、ヘビクビガメ科は南アメリカ(南 端部を除く)•オーストラリアやニューギニアと 太平洋•大西洋・インド洋の熱帯から温帯域 その周辺の島々に分布する。 に主に分布する。 一方、潜銀類は世界中に分布し、ユーラシ 洋 У 大西洋 赤 ]熱帯雨林気;4候 ]地中海性気候 ナ気候 ]西岸海洋性気候 ]熱帯モンスーン □亜寒帯湿!:潤 気候 ]砂漠気候 □高山気候 ]温暖湿潤気候 沖ラ気候 Turtle and Tortoise of th e World 007 カメの体 ガメやオオアタマガメなどは頸を甲羅内に引き 込み大きく強固な頭で蓋をする。オール状の四 カメ類の体の外部構造は、甲羅•四肢•頭部・ 肢を持つウミガメ類やスッポンモドキなどは、 尾からなる〇 頭部を完全に甲羅内に引き込まず、四肢は体 多くの種は一般的に甲羅が体の大部分を占 に沿わせ、尾は伸ばしたまま(陸上では多少 め、四肢を折り畳み、頭部は横に曲げるか縦 左右に曲げる程度)となる。甲羅は、肋骨が にS字型に引き込み、尾は左右どちらかに曲 板状に変化した骨状甲羅の外側に、皮膚が角 げることで甲羅内に隠す構造を持つが、ワニ 質化した薄い甲羅の上下ニ重構造で、両甲羅 【腹甲後部】 008 Turtle and Tortoise of the world ともいくつかの小さな甲板から形成されるが、 その先端に鼻孔が開く。 上下の甲板の接合部は合わさらない。甲羅は、 四肢は生息場所により、指間に水搔きの発 背甲と腹甲に大きく分けられ、背甲と腹甲はい 達するもの(スッポン類•ヌマガメ類など多くの くつかの甲板からなる橋甲板により繋がる。ま カメ類)や、ないか小さなもの(ヤマガメ類な た、各骨状甲羅の接合部は非常に複雑な形状 ど陸棲傾向の強いヌマガメ類やリクガメ類)、 に組み合い、いったんばらけると元の状態に オール状(ウミガメ類•スッポンモドキなど)、 組み合すことは困難。一方、スッポン類は皮 ゾウのような太い四肢を持つもの(リクガメ類) 膚が角質化した甲羅を持たず、吻は細長く、 などに分かれる。 ◎さまざまな形状の四肢 ①オール状(ウミガメ)②発達した水搔き(スッポン)③太い棒状(リクガメ)④小さな水搔き(ヌマガメ類) TURTLE AND TORTOISE OF THE WORLD 009 生息環境 域よりも、河川の中流域以上で流れのゆるやか な水域や池•沼•湿地などの水辺に集まっている。 カメ類は、動物全体からみて小グループな その一部は湿潤な森林内やその周辺部に進出 動物群である。しかし、その特殊な構造を持 し、流れの細い沢や狭い湿地で生息することが つ体でありながら、進出した生息環境に自ら でき、森林内の平地や急斜面を活動の場として の体の形態を変え、多様な形状と模様を作り いる。リクガメ類の一部は乾燥地の灌木地や岩 上げ、世界の極寒地を除く寒冷地から熱帯に 場の荒地へ進出し、気温の下がる晩はブッシュ 広く進出してきた。' 内や岩の割れ目•他の動物が掘った穴などに潜 凌温動物であるためにカメ類の分布域は熱帯 り込み、時には自分で穴堀りする(地中lm以 から温帯域に集中し、さらに水への依存度が高 上に達することもある)ものもいる。温帯域の力 い種が多く、流れの速い水域や川幅の広い河口 メ類は冬の低温期には水中や水辺に穴を掘り、 【カメ類の暮らすさまざまな環境】 砂漠 乾燥地の水場周辺 湿地帯 乾燥した林 010 Turtle and Tortoise of the world