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グロタンディーク巡礼 = Pèlerinage à Grothendieck : 数学思想の未来史 /Gurotandīku junrei : Sūgaku shisō no miraishi PDF

747 Pages·2015·61.5 MB·Japanese
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Jun-Ichi Yamashita L'histoire future de la pensee mathematique a Plerinage Grothendieck 色 数学思想の未来史 グロタンディーク巡礼 山下純一 現代数学社 Meinem verstorbenen Freund, Alexander Grothendieck, in Verehrung und Dankbarkeit gewidmet. アレクサンダー・グロタンディーク (Alexander Grothendieck, 1928-2014) 『収穫と種蒔き』で使われた唯一の写真 リューグロの収容所で 12歳のときに撮影されたもの 、 r ーに 目 次 はじめにー I. 時が埋めき夢が匙る一一−---−−目『ー 数学のロゴスとエロス−-----------−−−−−−−−−−−』一一一−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 2 異常体験のインパクト−−−−−− −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−一−−−−−−−−−−−− 21 ヴェイユとリーマン−−−−−−−−−−−−−−ー『ー−−−−−−−一一一−− -------- ー『 31 創造のプロセスを探る【−−-----------------------------------------------41 ガロアと毛沢東一戸−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−一一一61 ヴェイユ予想のルーツ−−−−−−−−−一回目−−−−−−−ー』戸一一一一−−−−−−−−−−− 73 内的欲動の表出一一一一一一一−−−--------------------------------------86 光に満ちた刑罰−−−−−−−−−−−−−−−−−四一一一−−−−−−−−−−−−一一一一−−−−−−−−】目−−−−−− 96 絶縁状−−−−−−−−目ーー一一一−−−−−−−−−− −−−−−−−−−−−−−−−−一−−−−−−−−−− 115 自己神化への逃避−−−−−−−---------・---−岡田−−−−−−−−−−−−−−−−−−−:−−−−−−ー一一 125 アンセストの称賛一一一一一一一−−−−−−−−−−−−−−−一一一−−−−−−−−−−−−−−−−−−−目 158 II. 萌芽と灰暗い無垢の中へ−−−−-----------------:-----------−−一一 169 失楽園と甘美な孤独一−−−−−−−−ー一一−−−−−−−−−一一−−−−−−−−田−−−−−−−−− 170 因果の鎖を断つ−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−【『一一 192 変性意識体験−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−一一一一一−−−−−−−−−−−−−−一一一−−−−−−−−−202 欲動と創造一一国−-----------------−−−−−一一一一−−−−−−−−−−−−−−−−−− 212 スートラとタントラー−-----------------------------−−目−−−−−−−一一一− 222 夢の中の夢一一一一一一一一一一一−−−−−−−−一一一一−------------------234 ルリジオジテ−----------------------------------------------------------244 ペルソナ−−−−−−−−−−−回目ー−−−−−−−− 一ーー 戸ー 一一戸−−−−−−−−ー目256 予見者の誕生−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−一一一 一 266 詩的狂奔と終末論−−−−−−−−−−−ー一一一−−−−−−−−−−−−−−−−−一一一−−−−−−−−一一一一276 a J 精神疾患と創造性−−−−-----------------------−一−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 286 1 1 1 31目 理性と神秘主義−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−ーーー−−−−−−−−− 296 1 1 4 4 qad苛 ウニオ・ミスティカー 一【−−−−−−ー 一一− −−−−−−−−−−−−一一−−−−−−−−− 306 泊町 1 H 直観からホモトピー的思考へー』一一 『−−−−−−−−− ---------316 d身 d 地 4 3 1 数学宇宙仮説一一一一−−−−−−−−−−−一一一−−−−−−−−一一一一一一一−−−−−−−−一一一328 1 3 4 d AU 情動と夢一一−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−『ー−−−−−−−−−−−−−−ーー一一− 347 μ h h uh叶 神秘体験−--------------------------------------------------------------367 E 思い知るべき人はなくとも−−−−−−−−−−−−一一−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 385 過去の訪問の回想−-----------------------------------------------------386 アストレの情報−−−−−−− 一周回−−−−−−−−−−】由一一−-------------------------402 トゥルーズとル・ヴェルネ一一ー 一一一−−−−−−−−ーー一一−−−−−−−− 414 ラセールでの今生の別れ−−−−−−−−−−−−−−司−−−−−−−−】一一一一−−−−−−−−ー一一427 ヴイルカンとカタリ派−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−一−−−−−−−−−−−−−−−−−回目−− 440 メラノレグ とモノレモワロン−----------------------------------------------453 P マザンとシュリクと法華経団−------------------------------------------463 ノレ・ピュイ王レゴと聖母−−−−−−−−一一一一一一一一一一−−−−−−−−−一一−−----------473 ノレ・シャンボンとラ・ゲスピー−−−−−−−−一一一一一一一一一一−−−−−−−−一一一483 コレージュ・セヴノル一一一−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−一一周−−−−−−−−−−−−−一一一493 マンドと少年時代−−−---------------------------------------------------503 リュークロの収容所一−−−−− - ーー−−−−−−−−−−−−− ---------513 ラルザックの反核闘争−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−ー田−−−−−−−』一一一一一一一一一一524 無意識の自動運転−−−−−----------------------- 一−−−−−−−−−ーー一一537 マテクリテュールの余韻−---------------------------------------------549 サン・ジロンとミュゲー−−−−−−−−一一一一一一−−−−−−−−一一一一一−−−−−−−−一一561 夢幻との訣別一一−−------------------------−一一−−−−−−−− - ー四 573 リーマンの創造性−-−−−』 -------------------------------------------584 隠喰的創発性と数学夢−−−−−−−−−−−ー一一一−−−−−−−−−−−一一一一一一−−−−−−−−園田 594 幻覚とラマヌジャンー−−−−−−『−−−−−−−−−−−−−−−−一一一−−−−−−−−−−−−一回604 ラセールの日々−−−−−−−−−−−−−−−−−ー一一一−−−−−−−−ー一一一−−−−−−−−−−−−−− 614 ラセールを歩く−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−一一−−---------------624 夢と情緒と無意識一一一−−−−−−−--------------------−−−一一−−−−−−− 634 グロタンディーク逝く−−−−−−−−一一一−−−−−−−−一一一−−−−−−−−−−・−−−−ー一一一646 おわりに−−−−− −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−ー一一−−−−−−−−−−−−−−−− 674 グロタンディーク年譜−−−−−−−−ー一一−------------------------------------------690 人名索引一一一一−−−−−− −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−一一−-------700 事項索引一一−−−−−−−−一一一一一−−−−−−−−ー一一一一一一一一一−−−−−−−−一一一一一一一 710 N'est-ce pas la une chose "dingue”en effet? 一Grothendieck,La Clef des Songes, p.53 本書のテーマとなっているアレクサンダー・グロタンディークは,新 聞「ル・モンド」も書いたように,「20世紀最大の数学者JCle plus grand xxe mathematicien du si色cle)だといわれることがある.「すべての時代を 通して最大の数学者」(thegreatest mathematician of all time)だという人 もいるほどだ.思考の対象を極限まで抽象化・一般化して,その対象の本 質を暴き出すという「神秘的な飛躍」 Cessormystique)が,グロタンディ ークの数学の最大の特徴であった.普通の数学者たちには,「抽象化のため の抽象化」「一般化のための一般化」としか見えないような場合でさえ,グ ロタンディーグの手にかかると謎のように「神秘的な飛躍」が起こること もあった. ハーバード時代の広中平祐がその優秀さにショッグを受けたとされるマ ンフォードも証言しているように,グロタンディークが数学的創造性の片 鱗を垣間見ぜてくれる現場で,魔法使いのような戦略的手法を見せつけら れると,「これこそ本物の天才だ! Jと感じてしまうようだ.しかも,グロ タンディーグの場合,少なくとも外見上は,さまざまな本や論文を読み大 量の知的情報を統合することによって「神秘的な飛躍」を可能にするので はなく,むしろ究極的なまでの「素朴さ」(naivete)の追求によって,そ れを可能にしているとしか思えないのだから恐ろしい.ぼくも何度かグロ タンディークの「(数学的)常識の欠如」に驚かされたことがある.「欠 如」の力で湧きだすグロタンディークの抽象化・一般化の威力は未知の事 象の言語化にも通じており,それまでは誰にも見えなかった何かが,その 言語化とともに顕現してくることからも,グロタンディークの手法の奥深 さを感じさせずにはおかない.グロタンディーク自身は,『収穫と種蒔き』 (Recoltes et Semailles)の中で,自分の数学の特徴を「満ちる海」 Oamer qui monte)に喰えている.グロタンディークの情動と理性の相互作用にと って母子関係の展開は極めて重要なのだが,フランス語では母(m色re)と L 海(mer)がまったく同じ発音だという事実 メタファーとしてのこの イメージを理解する上で無視できない事実だろう. グロタンディークをその「勲章」によって称えるのは不可能だ. という のも,「勲章」らしい「勲章」としてはフィールズ賞くらいしかないからだ. そのフィールズ賞も授賞式への参加を拒否し,賞金やメダルも南ベトナム 解放民族戦線に寄付してしまったとされる. 1960年代の「栄光の時代」を 経て, 1970年(42歳)に数学の世界を去って隠遁したし,隠遁中の 1988 年(60歳)に授賞が決まったクラフォード賞も受賞を拒否してしまった. どこかに「無冠の帝主」の風格が漂っているが,最晩年に俗世間からの本 格的隠遁に突入してからは,グロタンディークによって醸し出された数学 界の無意識的な「不安感」を象徴するかのような「発狂」説や「女たらしj 説が流されるなど理不尽な事態も発生していた. 数学者の多くは,「栄光の時代」のみに焦点をあてて,疲れを知らずにエ ネルギッシュに数学のみに集中するグロタンディークというイメージを語 る場合が多い.また,「自明」だからといって省略することなく何から何ま で懇切丁寧に記述されている膨大な未完の教科書『代数幾何学原論』(EGA) やそのための母胎となる「代数幾何学セミナー」(SGA)の出版物を見て超 ブルバキ的な精神に驚嘆する人も多い.(ただ 『代数幾何学原論』はグロ タンディークの草稿をもとにデュドネが仕上げ、たものなので,これを見て グロタンディーグを語ることには問題もあるのだが.)ぼくも大学入学直前 のころに,「書かれたものJとしてのグロタンディークの数学に魅かれて, そのような数学を創造するグロタンディークという人物に注目しはじめた のだった.やがて,ぼくは,数学そのものだけでなく,「神秘的な飛躍Jを 可能にする「グロダンディークの深淵」に触れてみたいと思うようになった. グロタンディークという特異現象がなぜ可能だったのかを探りたくなった ii 一色 わけだ. 本書は,ぼくのこれまでの「グロタンディークの深淵」を探るための旅 と試行錯誤の記録のようなものだ.雑誌『現代数学』での長い期間(2007 年 6月号〜 2015年 3月号)にわたる連載記事を「脱構築Jしたものなので, 掲載時期によっては調査の不十分さも露呈しているだろうし,連載記事の もつ限界のせいで,繰り返しゃ見解の揺らぎといった不満足な点が残らざ るをえなかったのは残念だが,「グロタンディークの深淵」に接近するため の「聖地巡礼の旅」の記録だということで理解してほしい. 1973年の隠遁以前のグロタンディークゆかりのヨーロッパの町は, ベル リン, ブランケネーゼ(ハンブルク),パリ,マンド, リュークロ, ブラン, メラルグ,モンペリエ, ボワ・コロンブ,ピュル・シュリヴェット,マシ, シャトネ・マラブリーなどだ. ぼくが巡礼するのはグロタンディークゆか りの地だけでなく,もっと一般的に,グロタンディークゆかりの事象につ いてなのだが, 1973年以後の隠遁地については文字通り巡礼を試みている. 主要な隠遁地は 3か所,他に短期滞在地が 1か所ある.すべて南フランス の小さな村で, およその滞在時期(重複あり) とともにおよそのところを 書けば, 1973年圃1980年 ヴイルカン (Villecun) 1979年開1981年 ゴルド(Gordes) 1981年−1991年 モノレモワロン (Mormoiron) 1991年−2014年 ラセール(Lasserre) のようになっている. 第 1次隠遁地ヴイルカンは,数学の世界を去ったグロタンディークが, 1973年にコミューン建設のために移住したオルメ(Olmet)に隣接する村 で, グロタンディークはヴイルカンの家からモンペリエ大学に講義やセミ ナーのためにときどき通うようになった. ぼくがはじめてグロタンディー クと会見したのもヴイルカンの家だった. 1974年には日本山妙法寺の創始 者藤井日達に興味をもちはじめているが, 1975年には数学に揺りもどされ て抽象的なホモトピー論について考えたりもしている. 1976年に膜想とそ 1・”“川団 の意義を発見したのもヴイルカンだった. 日本山妙法寺の僧侶を泊めたこ とに関する裁判などもあって 1979年ごろにヴイルカンを脱出し,しばら く行方不明状態だったとされるが,旧知の文化人類学者ジョランのゴルド 北部のラ・ガルデット(LaGardette)の家にしばらく滞在して両親につい ての膜想(調査と考察)を深化させてもいる.「スピリチュアルなグロタン ディーグjへの萌芽ともいうべき詩的な作品『アンセストの称賛』(Eloge de l’Inceste)はここで、書かれたようだ.その後(1981年),恋人だったヨ ランドの斡旋で第 2次隠遁地モルモワロンに転居し,本格的な数学研究の 再聞を目指した.グロタンディークは,モルモワロンの家で書き続けるつ もりでいたさまざまな数学的膜想(論文)を収録するために数学的膜想シ リーズ「数学的省察J(R甜exionsMathematiques)を構想した. このシリ ーズは, 1960年代に追求しつつあったもののやり残したテーマで,弟子た ちもそれを継承しようとしなかった大きなテーマ「コホモロジー論の超克」 の再生と完成を含む予定だった.このシリーズに収録することにした新し いスタイル (lenouveau style)の論文『シャンの探求』(Ala Pursuite des Champs = Pursuing Stacks)のエピソード 1『モデルの物語』(Histoirede Mod色les= The Modelizing Story),別名『キレンへの手紙』を 1984年に 1 年がかりで書き上げてから,『モデルの物語』の序文を書き出したところ, 過去の経緯などを調査回想しているうちに, ドリーニュなどの弟子に対す る批判的な気分に襲われ, この序文が 2年がかりで自己増殖して,結果的 に 1986年に『収穫と種蒔き』を書き上げることになった.数学的膜想シリ ーズの名称も数学とは限らない膜想シリーズになりそうな気配だったので, 単に「省察J(Reflexions)に変更されたようだが,これは使われないまま になってしまった.実際,『収穫と種蒔き』には「数学者の過去について の省察と証言」(R姐 exionset t白10ignagesur un passe de math白iaticien) と書かれている.さらにその後,『収穫と種蒔き』を書く過程で生まれた テーマのいくつかが自己増殖して グロタンディーグの心がスピリチュ アルな宇宙の香りに色濃く染まりはじめ, 1987年に神秘的官能的「悦惚」 “(1・avissement”mystique-erotique)を体験した後に,それを踏まえて書き iv

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