Lespedeza caraganae Bunge (Leguminosae), a New Introduced Plant from China

2004·0.31 MB·English

by  Hiroyoshi Ohashi

378 植物研究雑誌第79巻第6号 平成16年12月
ウは園芸関係で一般に使われてきた名称、のよ (Japan. Ehime Pre ，.fImabari-shi，Sa ba.-c
帽
うである(最新園芸大辞典編集委員会 1968， road along NiおshiおsetωoExpr問els臼sway(Shimanamiト-Ka羽idoω)，
塚本 1994).近年この植物が切り花として広 n凶aat加urali包zzeのd).29 June 2003.伊藤隆之 T.Itoh 23629
(TUS 300334).
く利用されているため 属を代表する名称、と
されるようになったのであろう. 引用文献
Gypsophila oldhamiana Miq. in Ann. Mus. 石井勇義(編)1952.園芸大辞典 3.誠文堂新光
社，東京.
Bot. Lugduno-Batavi 3: 187 (1867); Nakai in J.
前川丈夫，原 寛，津山尚.1961.牧野新日本植
Coll. Sci. Imp. Univ. Tokyo 26: 83 (1909);
物図鑑.北隆館，東京.
Kitagawa，L ineam. Fl. Mansh. 198 (1939); Inst.
牧野富太郎，根本莞爾.1931.訂正増補日本植物
Bot. Boreali-Occidentali: Fl. Tsinlingensis 1: 総覧・春陽堂，東京.
216，fi g. 184 (1974); Kitagawa，N eo-Lineam. Fl. 松村任三(編纂)，矢田部良吉(閲)1884. 日本
Mansh. 267 (1979);中国植物志 26:434，f ig. 植物名葉.丸善蔵版.
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最新園芸大辞典編集委員会 1968.最新園芸大辞
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証拠標本:愛媛県今治市砂場町，西瀬戸自動車 (編)， 日本の帰化植物.平凡社，東京.
道(シマナミ海道)の側道，法面に帰化 (Japan. 帝国大学編纂(松村任三)1886.帝国大学理科大
Ehime Pref.，Im abari-shi，Sa ba-cho，a r oad along Nishi- 学植物標品目録.丸善商社，東京.
seto Expressway (Shimanami-Kaido)，na turalized). 27 塚本洋太郎(総監修). 1994.園芸植物大辞典，コ
July 2002.伊藤隆之 T.1ωh 22727 (TUS 298708); ンパクト版.小学館，東京.
loc. ci .t19 August 2002. T. Itoh 22819 (TUS 298709); (a東北大学附属植物園津田記念館，
今治市砂場町二丁目，西瀬戸自動車道の側道 愛媛県立西条高等学校)
b
マメ科の新帰化種ナガバメドハギ(新称) (大橋広好a，根本智行 ，伊藤隆之c)
h
Hiroyoshi OHASHI\ Tomoyuki NEMOTOb and Takayuki ITOHc Lespedeza caraganae Bunge
:
(Leguminosae)，a N ewl ntroduced Plant from China
2003年に中国に原産するハギ属植物4種の caragαnae Bungeは遼寧，河北，侠西，甘粛，
帰化を報告した(大橋他 2003).そのうち 3 山東，河南省等に分布し，海抜1，400m以下
種はハギ亜属の種で，いずれも愛媛県内で伊 の山地に生育するという.愛媛県と徳島県の
藤によって発見されたものであった.それら 採集地はオオパメドハギなどの帰化種の生育
はオオバメドハギLespedezadavurica (Laxm.) 地と同じく道路の法面であった.新道路建設
Schindl. ， トウクサハギL.floribunda Bunge の際に法面に吹き付けられた種子から生育し
およびカラメドハギL.inschanica (Maxim.) たものと思われる.
Schindl.であった.今回報告する Lespedeza ナガパメドハギはシベリアメドハギL.
caraganae Bungeもハギ属ハギ亜属の 1種で， juncea (L. f.) Pers.に酷似する.シベリアメド
中国の固有種とされているものである.愛媛 ハギの学名はL.juncea (L. f.) Pers.で、あり，
県と徳島県内で伊藤によって採集された この学名はカラメドハギと呼ばれていたが，
(Fig. 1，A ，B ). ここに新帰化植物として記録 カラメドハギという和名はL.inschanica
し，小葉が細長いことに基づいてナガバメド (Maxim.) Schindl.に対して用いるべきである
ハギの和名を与えたい.中国でも本種の名は と思う，これらの和名と学名の対応について
長葉銭掃帯または長葉胡枝子といい，やはり は大橋他 (2003) を参照していただきたい.
小葉の特徴に基づいて命名されている. ナガバメドハギとシベリアメドハギとが特に
Li and Chen (1995)によれば，Lespedeza 似ているように見えるのは小葉の形であり，
December 2004 Journal of Japanese Botany Vo .l79 No. 6 379
A
Fig. 1. A. Lespedeza caraganae Bunge. Voucher specimen (a part). T. Itoh 22814 (TUS299254). B.
Leaflets of L. caraganae showing venation pattern. Voucher specimen: T. Itoh 22813
(TUS298626).
多くは狭楕円形でその先端は鈍頭であって中 た，ナガバメドハギでは側脈がほとんど枝分
肋の先端が短く突出する点にある (Fig.1，B) . かれせずに葉縁に達するが (Fig.1，B )，シ
その他にも両種は葉般に短縮した総状花序を ベリアメドハギでは側脈は葉縁に達する前に
つけ，各総状花序には 3-7個の白色から黄緑 湾曲して次の側脈に合着し さらにややまば
色の小さな開放花がつき，同時に葉服あるい らに枝分かれしていて側脈問で連なって網状
は花序の基部には閉鎖花もつけることでも共 脈となる.果期には閉鎖花の果実がよい区別
通する (Fig.1，A ). 点となり，ナガパメドハギでは果実は亨より
しかし，ナガバメドハギの小葉はシベリア も長いが (Fig.1，A ) ，シベリアメドハギで
メドハギよりも細く，狭楕円形から線形に変 は短い.
異し，一方シベリアメドハギで、は小葉の形は ナガパメドハギを清水建美(編) I日本の
線形にはならず，狭楕円形あるいは狭長楕円 帰化植物」中のハギ属帰化種の検索表(大橋
ID.
形であって，比較すればナガバメドハギより 2003) に含めてみると， 小葉の網状脈
もやや幅が広く，葉形の変異幅が大きい.ま は不明瞭」のグループに入り，メドハギと同
380 植物研究雑誌第79巻第6号 平成16年12月
じグループとなる.網状脈のみられるオオパ Jap an from China.
メドハギやカラメドハギなどともこの点で区 ナガパメドハギ(新称)
別できる. 証拠標本:愛媛県伊予郡中山町栗田仁川登，県
メドノ\ギ、 L.cuneata (Dum.Cours.) G. Don 道 223号中山砥部線，法面，帰化 (JAPAN.
Shikoku. Ehime Pre ，.fIyo.gun，Nakayama-chぺKurita，
はハギ亜属の中で最もふつうの種で，変異の ・
Nigoto，a long prefectural route 223 Nakayama-Tobe
幅が著しく大きい.頂小葉の形も狭倒卵形，
line; naturalized). 13 August 2002. 伊藤隆之
狭長楕円形，あるいは狭楕円形で，長さは Takayuki Itoh 22813 (TUS298626); loc. ci ，.t 13
3-30 mmの変異がある.また，ナガバメド October 2002. T. Itoh 22814 (TUS299254);愛媛県
ハギと同じく閉鎖花の果実は琴よりも長い. 喜多郡河辺村河都，寺薮，県道55号小田河辺大
洲線，法面，帰化(EhimePref.，K ita-gun，K awabe-
しかし，小葉が明らかに異なり，次の点でナ
mura，K awato，T erayabu，a long route Oda-Kawabe-
ガパメドハギと異なっている.メドハギでは
Ozu line (Prefectural road No. 55); naturalized). 31
狭倒卵形が一般的な形で 基部に向かつてく
Aug.2003.伊藤隆之 T.Itoh 23831 (TUS 299004);
さび状に狭まることが多く，小葉の先端は多 愛媛県今治市砂場町，西瀬戸自動車道(シマナミ
くの場合円形から切形ときには少し凹み，側 海道)，法面，帰化 (EhimePref.，I mabari-shi，S aba-
脈は葉縁に達する前に湾曲して次の側脈に合 cho， Kawato， Nishiseto Expressway (Shimanami
Kaido)，a long route Oda-Kawabe-Ozu line (Prefectural
着する.
road No. 55); naturalized). 22 May 2004.伊藤隆之
なお，メドハギは韓国から輸入されたとい
T. Itoh 24522 (TUS 300334) ;愛媛県越智郡菊間町
われる例があり(大橋 2002)，中国からも輸 種白岩，広域農道営農団地線(越智西地区)，帰化
入されたとみてよいであろうが，中国や韓国 (Ehime Pre ，.fOchi-gun，K ikuma-cho，Ta ne，Sh iroiwa，
の集団と日本のものとは形態的に区別できな along farm road Einodanchi line; naturalized)・ .19
June 2004.伊藤隆之T.Itoh (TUS 302856).徳島県
いので，すでに日本に在来集団と移入集団と
三好郡山城町野鹿池山，林道下名栗山線，帰化
が生育していても両者を形の違いで識別する
(Tokushima Pref.， Miyoshi-gun， Yamashiro-cho，
ことは不可能で、ある.さらに，ハギ亜属の種
Nokanoike-yama，a long route Shimonaguriyama line;
では種聞の交雑能力があると推定されるため naturalized). 10 July 2004.伊藤隆之 T.Itoh (TUS
に，すでに指摘したことであるが(大橋 302857).
2002)， 日本において在来種と外来種の間で
引用文献
新雑種の作られる可能性もある.あるいは新
Li J. and Chen Y. 1995. Lespedeza. In: Lee S. K. (ed.)，
しい環境の下で外来種同士の間でも新雑種を
Flora Reipublicae Popularis Sinicae. 41: 131-159.
作る可能性があると思われる.
Science Press，B eijing (in Chinese).
Lespedeza caraganaeの図は少なく，中国 大橋広好 2002.分類学私考.分類2:65-73.
主要植物図説豆科に部分図があるが，中国高 一一一2003. マメ科. [14J ハギ属.清水建美
等植物図鑑 2 (1972) にも中国植物志41 (編)，日本の帰化植物.pp. 108-110.平凡社，
東京.
(19 95) にも図はない.Fig. 1のAとBでは
一一一，根本智行，伊藤隆之 2003.ハギ属の帰
証拠標本の一部を示す.
化植物4種.植物研究雑誌78:50-54.
Lespedeza caraganae Bunge，P l. Mongholic.- (a東北大学附属植物園津田記念館，
Chin. 1: 11 (1835); Li & Chen，F l. Reipubl. 石巻専修大学理工学部基礎理学科，
b
Popul. Sin. 41: 155 (1995). New introduction to C愛媛県立西条高校)