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Breeding and nymphal development of Lycosa coelestis L. Koch. PDF

5 Pages·1997·0.45 MB·English
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Acta arachnol., 46 (1); 33-37, July 30, 1997 ハ ラ ク ロ コモ リグモLアco5αcoθ125爵L.KOCHの 子 育 て と幼 体 発 育 宮下 和喜1) Kazuyoshi MIYASHITA1>: Breeding and nymphal development of Lycosa coelestis L. KOCH Abstract The breeding and nymphal development of Lycosa coelestis L. KOCH were investigated by means of rearing under seminatural conditions. Three females success- fully bred twice in their life. Breedings were carried out in underground nest. The mean number of progenies produced per female in each brood and its standard deviation were calculated to be 202.0± 19.5 in the 1st brood and 76.7±25.5 in the 2nd. The mean total number of progenies produced per female in life was 278.7±35.3. The 2nd instar nymphs dispersed from mother's back on 19th July,1995, developed to adult by late May - July of the next year. The number of molts required was 6-8 in the male and 7-9 in the female. Overwintering nymphs often dug underground nest and stayed in it. 緒 言 ハラクロコモリグモLアco5αco漉5爵L.KOCHは 本州,四 国および九州に分布してい る雄と雌の体長がそれぞれ10-13mmと13-15mmの クモで,山 地の少し開けた林床 や草原を俳徊していることが多いといわれている(新 海・高野,1984;千 国,1989).関 東平野の千葉県我孫子市市内でも,山 林の周辺に稀にではあるが生息している.池 田 (1988)に よると,このクモの生態は今までにほとんど調べられたことが無いようである. そこで私は,こ のクモの生活史の大要を調べるため若干の飼育を試みた.こ こにその結 果を報告する. 材料と方法 雌の子育て:1995年 の6月10日,千 葉県我孫子市にある私の住居近 くの中央学院高 等学校構内の山林の落葉の下で,偶 然1匹 の卵のうを持った雌を見つけた.そ こで,3日 後その周辺の林床の落葉を取り除きながら追加の採集を試みたところ,3匹 の卵のうを 持った雌を得ることが出来た.こ れら計4匹 の雌は,長 さ15cm× 幅llcm× 高さ7.5cm のビニール蓋付のプラスチック容器に1匹 ずつ入れ,死 亡するまで飼育した.容 器の底 には湿った土を2cmほ ど入れ,そ れが乾燥した時は,霧 吹で適当に水を与えた.雌 は, 1)〒270-11千 葉 県我 孫子市湖北 台10-17-19 10-17-19,Kohokudai,Abiko-shi,ChibaPref.,270-11Japan AcceptedApril25,199? 34 宮下 和喜 容器の一隅にあらかじめ作っておいた穴に入 り,上 部を網で被ってふ化幼体が2令 にな って体に乗 り移るまで外に出てこなかったし,摂 食もしなかった.ま た,雌 は2令 幼体 が体から離れてしまうまでは強い食欲を示さなかったので,巣 ごもり中からこの期間ま では餌を与えなかった.幼 体が離れてしまった雌にはイエバエ,シ ョウリョウバッタや オンブバッタの適当な大きさの幼生,中型のガガンボ成虫などの中のいずれかを1-2匹 ずっ1-2日 おきに与えた.第2回 目以後の産卵は,土 中に自分で堀った巣穴の中で行わ れたので直接観察は出来なかったが,巣 穴にこもって4-5日 後,上 部の網を細いピンセ ットで少し破いてみると,産 卵が行われた場合には雌が卵のうを持っていたので,産 卵 を確認できた.不 受精卵を産んだ場合には,雌 は数日で巣穴より出てきてしまった.餌 の与え方は,最 初の産卵の場合と同じである. 2令 幼体は,数 日をかけて徐々に親より離れていく.そ のため,毎 日その数を数え,合 計数をその回の発生幼体数とした.こ の数値は,本 文中では産卵数として取り扱うこと もある. 飼育容器を置いた場所は,空 気調節をしない普通の部屋の日光が直接当たらない場所 であった. 幼体の発育:7月19日 に図1に 示したNo.2の 雌の体 より離れた2令 幼体の中か ら手当り次第に21匹 を取 り出し,こ れらを直径2.5cm× 高さ55cmの 蓋付ガラスビン に1匹 ずついれ,飼 育を始めた.こ の容器は,4令 から6令 にかけては直径4cm× 高さ7. 5cmの ガラスビンに,7令 以後ではこれを長さllcm× 巾8cm× 高さ5.5cmの プラスチ ック容器に変えた.ガ ラスビンを用いた飼育では湿度はとくに与えなかったが,プ ラス チック容器の場合には底に湿った土を1.5cmほ ど入れ,土 が乾燥した時には適当に水を 撒いた.餌 は捕虫網でとれるウンカやヨコバイの幼 ・成虫,カ ラバエ,シ ョウジョウバ エ,タ ネバエ,イ エバエ,ヒ シバッタの幼 ・成虫などであったが,飼 育幼体の発育につ れて順次小型のものから大型のものを2-3匹 ずつ与えるようにした.給 餌間隔は1-2 日おきで,給 餌の時に脱皮の有無を確かめた.た だし,12月 の中頃になると飼育個体は 餌を与えても時々しか食わなくなったので,12月21日 より翌年の3月1日 まで給餌は 行わなかった.3月 からは餌は食う食わないにかかわらず念のために1〜2日 おきに与 え,食 わない場合には古い餌を新しいものに取りかえるようにした. 飼育容器を置いた場所は,雌 成体の飼育と同じ場所であった. 結果と考察 雌の子育て:図1は,4匹 の雌の飼育条件下での産卵 と産まれた幼体の保護の経過を 示したものである.こ の4匹 の雌は,い ずれも採集時すでに卵のうを尻に付けているか 腹に抱えていたものであるため,正 確な産卵日は不明である.図 中では,そ れぞれの雌 の採集時の卵のうの状況やその後の子育ての経過などから推定したおおよその産卵時期 を,点 線で示しておいた.No.3の 雌は,採 集時には卵のうを持っていたが,飼 育を始め て数日後には巣穴から出てきてしまった.そ こで,す ぐ巣穴を調べてみたが何も見つか らなかった.多 分この雌は,産 卵はしたが不受精卵だったため,そ れを食ってしまった ハラクロコモリグモの子育てと幼体発育 35 図1.飼 育条件 下でのハ ラク ロコモ リグモ雌の子育 て経 過. Fig.1.BreedingProcessesofLアco5αcoθ1診5漉 免malesunderseminaturalrearing conditions. のだと思われる.そ の他の3匹 の雌は,6月 の終わりから7月 の中頃にかけて2令 幼体を 体いっぱいに背負って巣穴から出てきた.親 に背負われた幼体は3〜5日 すると徐々に親 から離れはじめ,ほ ぼ1週 間ほどで全てが親から離れ,分 散した. これら3匹 の雌は,そ の後5-10日 ほど摂食すると第2回 目の産卵をし,そ れから生じ た幼体は8月 中に親から離れた.No.2とNo.4の 雌は,そ の後もう一度産卵 したが,い ずれも不受精卵だったため,す ぐ巣穴から出てきてしまった. 子育てに失敗したNo.3を 除 く3匹 の雌の第1回 および第2回 の産卵より生じた幼体 数は,図1の 要所にそれぞれ書き込んである通りである.い ま,産 卵数が無事親から離 れた2令 幼体数に一致するとして,第1回 目と第2回 目の産卵数の平均値と標準偏差を 計算してみると,第1回 目は202.0±19.5,第2回 目は76.7±25.5と なって,第2回 目の 産卵数は第1回 目のそれに比べると,約1/3ほ どになっている.ま た,雌 が一生の間に 産んだ総卵数もNo.1が230,No。2が288,No.4が318と 大きな違いを示したが,平 均値と標準偏差を計算すると278.7±35.3と なった.要 するに,雌 は一生の間に200-300 個の卵を2〜3回 に分けて産むが,3回 目の産卵は不受精になってしまうことが多いらし い. 幼体の発育:図2は,親 より離れた2令 の分散幼体の飼育条件下での発育経過を示し たものである.飼育は最初21匹 で出発したが,途 中で8匹 が死亡したので(死亡率38%), 無事成体にまで発育した個体数は,雄7匹 と雌6匹 の計13匹 になった. 図2を 見れば分かる通り,7月19日 に親から離れた2令 幼体は,雄 では年内に5-7回 と翌年に1回 の計6-8回,雌 では年内に6-7回 と翌年に1-2回 の計7-9回 の脱皮を繰り 返して,5月 の終わりから7月 の中頃までに成体になっている.つ まり,卵 よりふ化した 幼体は雄では7-9令,雌 では8-10令 を経過して成体になる.ま た,5-6月 に産まれた卵 36 宮下 和喜 図2.飼 育条件 下で のハ ラ クロコモ リグモ2令 幼体 の発育経過. Fig.2.DevelopmentalprocessesofLycosacoelestis2ndinstarnymphsunder seminaturalrearingconditions. からは翌年の5-7月 に成体が生ずるのであるから,幼 体発育に要する期間の長さはほぼ 1年である. 7月 から発育を始めた幼体は,12月 から翌年の3-4月 までの期間中,図2に 示したよ うに頻繁に土に巣穴を掘ってその中にこもったり外に出てきた りすることが観察され た.巣 穴は上部を完全に網でふさぐ場合と,糸 を少しからめただけの場合などいろいろ であったが,図 ではそれらを区別しないで示してある.そ れぞれの個体が巣穴にこもっ た時期,頻 度およびこもった時の期間の長さなどは,い ずれも個体ごとにばらばらであ った. 以上の飼育結果からすると,こ のクモの成体が野外でよく見られるいわゆる出現時期 は,春 の終 りから夏の中頃にかけてであるように思われる.し かし,新 海・高野(1984) は成体の出現時期は12一翌年7月 としているし,千 国(1989)は6-7月 と10-12月 の2回 であるとしている.そ うすると,前 者の春(正 確にはそう記述されていないが)一7月 あ るいは後者の6-7月 という出現時期の方は本調査から予想される時期 とほぼ一致する が,前 者の12月 および後者の10-12月 という出現時期の方は,本 調査の結果だけからで は説明するのがむずかしい.図1に よると,夏 までに2回 の子育てをした雌は,9月 まで にはすべて死亡しているので,こ れらが10-12月 まで生き残るようには思えない.そ れ 故ことによると,第2回 目の産卵により8月 に生ずる2令 幼体が(図1参 照),翌 年の夏 ハラクロコモリグモの子育てと幼体発育 37 までには成体になるが秋から冬にかけては繁殖できないので,さ らに次の年の春まで繁 殖を延ばしているのかも知れない.つ まり,2年 目(産卵より数えると足かけ3年 目)の 春になって繁殖するので,そ れらが秋から冬にかけてよく見かけられるのだと考えるこ とも出来るが,詳 しいことは分らない.逆 に,図1に 示したより早い時期に産卵する雌 がいるならば,そ れより生じた幼体が12月 までに成体になる可能性もありうるが,こ の 点も実際に野外調査をしてみなければ分らない.な お,こ の調査では第3回 目の産卵が すべて不受精卵だったが,受 精卵である場合も起こりうる.も しそのような場合がある とすれば,12〜 翌年3月 の時期にごく若い令にある幼体 も見つかるであろう.し かし, このクモの個体群の主力は,雌 の1回 から3回 にかけての産卵経過からみると,1年(足 かけ2年)で 発育を完了して繁殖に入る第1回 目の産卵より生ずる子孫たちだと思われ る. 摘 要 ハラクロコモリグモの雌成体を自然条件に近い室内で飼育して産卵と幼体保護の経過 を調べた結果,5-6月 と7-8月 の2回 に受精卵を産み,そ の後一部のものは8-9月 に不受 精卵をもう一回産んだ.第1回 目の平均産卵数 とそれの標準偏差は202.0±19.5,第2回 目のそれらは76.7±22.5で あった.雌 が一生の間に産んだ平均総受精卵数 とその標準偏 差は,278.7±35.3で あった. 第1回 目の産卵より7月19日 に生じた2令 の分散幼体を雌成体の場合 と同様に室内 で飼育した結果,雄 は6-8回,雌 は7-9回 の脱皮を経て,翌 年の5-7月 に成体 となった. 引用文 献 千国安之輔,1989.日 本クモ類大図鑑.306pp.僧 成社,東 京. 池田博明,1988.ク モ生理生態事典.173pp.自 費出版. 新海栄一 ・高野伸二,1984.フ ィール ド図鑑クモ.204pp.東 海大学出版会,東 京.

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