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About the rhymes in Tangut verses: reanalysis of Tangut rhyming poetry in San shi shu ming yan ji wen PDF

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西夏詩の脚韻に見られる韻母について : 『三世属明言集 Title 文』所収西夏語詩 Author(s) 荒川, 慎太郎 Citation 京都大学言語学研究 (2001), 20: 195-224 Issue Date 2001-12-24 URL http://hdl.handle.net/2433/87801 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion publisher Kyoto University 西夏詩 の脚韻に見 られる韻母について ― 『三世属明言集文』所収西夏語詩 ― 荒川 慎太郎 0.は じめに 0.1本 稿の目的 西夏語は11世 紀か ら13世紀にかけて中国西北部に存在 した西夏の言語であ る。現在では死語 と化したが、仏教文献を始め豊富な文献資料を今 日に残して いる。なかには西夏語音の再構成に重要な手がかりをもたらす資料も多種、多 数存在する。このうちすでに西夏語韻書の存在は知 られていたが、西夏語詩文 の押韻、特に脚韻資料はこれまでにほとんど言及されていなかつた。西夏詩に 韻文資料と見なせるものが存在したことは、西田(1976)に 報告されている が、当該の資料、ロシア科学アカデミー東方学研究所サンク トペテルブルグ支 部(以 下、東方学研究所)所 蔵の 『三世属明言集文』注玉は現在 まで完全な形で は公開されていない。1999年 、筆者はその中の何編かの脚韻詩を閲覧 ・筆写す ることができたため注2、本稿で改めて紹介するとともに、これらの西夏詩の脚 韻の特徴 を述べたい。そしてその結果にもとづき、他の資料から推定された西 夏語音、および韻書における韻母の分類基準を再考したい。 第!節 ではr三 世属明言集文』全体について略述し、西夏語音韻論と関連す る部分を指摘する。第2節 では対象とする詩歌の押韻を整理 する。第3節 では 韻書の韻母分類 と脚韻に見 られる韻母を比較考察する。第4節 では筆者の推定 音表記によりこれ らの韻母の相互関係を一覧化する。 注1西夏文原題は 骸 亥戚 詫 煮詑 粥 嗣 授 。本資料の漢語訳名はrop6aqeBa H KLH盟oB (1963)、 及 び西 田(1976)に よる 『三世属明言集文』を踏襲 した。史金波他主編(1996) (r俄 蔵黒水 城文献』1、 漢文部分 。ただ し冒頭のカラー頁 のみ西夏語文献 も収録 される)に 見本 として冒頭一葉 目の影印が掲載 され る。また史金波 ・雅森吾守爾(2000)p.41に は一葉 目、最終葉が掲載 されて いる。 ともに題名の漢語訳 は 『三代相照言集文』 となっている。 注2東方学研究所所長ELク チ ャーノブ(E胚 ・KLHaHOB)博 士 をは じめ、資料閲覧 の便をは かって くださった文献室 の諸先生方、 ことにE.N.チ ョムキ ン(3. H. Te㎜)博 士、 M.1. ヴォロビヨヴ ァ―デ シャ トフスカヤ(M.H, Bopo6LeBa一 八ecπroBcKa∬)博 士、 N. Lノ ーソバ (H.YI. Hocoa)博 士 に感謝 の意 を表 し、 ここに記 しておきたい。 一!95一 0.2 本稿での表記 西夏語の例は、荒川(1999)の 推定音表記注3による。また、必要な箇所は西 夏語韻書による声調と所属韻類、字義を記した。 原文の記載箇所を示す必要がある場合にはこれを記した。何葉目かを数字 で、右頁をa、 左頁をbで 表記した。例文として詩句を引用するなどは何行目 かも明記した。7a-1な ら7葉 目右頁1行 目を指す。 1. 『三世属明言集文』について 1.1 東方学研究所所蔵の 『三世属明言集文』 r三 世属明言集文』は 「op6aqeBa H KbH田oB(1963)の 目録(以 下、 『西夏 語 の写本 と刊本』)で は、TaHr.27,胚IB.施4166と して整i理されて いる、蜘蝶装 刊本である。以下 に該 当部分(『 西夏語の写本 と刊本』,pp.54-55)の 和訳 を 記す。 {}は 筆者が補った箇所である。 三世属明言集文llc跳 皿 皿y㎜5冊 耶H Ba皿・闘(三 世 に属す る、明る い言葉 を集 めた もの);xxB. Ns 4166 刊本;綴 じ本 「蜴蝶装」;{全 体のサイズ}24x15.5{cm},テ キス ト17.5x11.2{cm};14〜16文 字で7行;1〜41葉,82頁:最 初 の頁に 表題,40〜41葉 に践文 と編纂者の姓一仏教高位 の 「清廉iな信仰 の誓約を 受 けた」、Xyiリと 瓜ao X頭 と版木の彫刻者 舳 口3皿 ・;{全 体は} 十分な形で無傷;第 一葉と最終葉は破れている。 詩文 ・散文中の西夏語文学作品の選集。主として宗教 ・教訓的な内 容。時折短い注釈を伴う。 参 照:Lists注4376,382 や通韻関係を明らかにする必要があるため、荒川(1999)の 「西夏語音転写表 記」 の韻母部分を参考資料1と して再掲 した。 注4『 西夏語の写本 と刊本』解題中のListsと は 、"Lists of Hsi-Hsia Works in the Asiatic Museum of Academy of Sciences, Leningrad, USSR", Comp. and transcrib. Dragunov, A. A.,N. A. Nevsky and Wang Jing-ju, Bulletin ofthe National Library ofPeiping, vol.4,1930で ある。 この西夏文書籍 目録 は、 『国立北平図書館 館刊 』第 四巻第三号 「西夏文専号」の 目録部(「 蘇俄研究院亜州博物館 蔵西夏文書籍 目録 」及 び 「蘇俄研究院亜州博物館蔵西夏文書籍 目録訳」)で ある。 参照番号について述 べて おくと、376と は、目録部 「蘇俄研究院亜州博物館蔵 西夏文書籍 目 録」Dragunov(ed.)"A Catalogue of Hsi-Hsia(rangut)Works in the Asiatic Museum, Academy of Sciences, Leningrad"、 分類番号31 骸 凪 魏 磁 粥 影1寝 (p.376)の ことであ り、 382とは同目録部王静如編 「蘇俄研究院亜州博物館蔵西夏文書籍目録訳」、分類番号31「三□ 属照語集文S (p.382)を 指す。この時点では二文字目の意味が明らかではなかった。 一196一 人名X頭M四 、几aoX蝉 、∬H耳3囲Lは それぞれ原文で確認す ると、 41b-5 乾 匿 慧明注5 41b-6 読 養 道慧注6 41b-7 1糀 糺 羊注7金注B の漢語音をキリル文字に直したものと考えられる。 体裁に関しては史金波 ・雅森吾守爾(2000)P.41に も詳しい。詳細は割愛 するが、本資料を 「活字本」と指摘している点は述べておく必要があろう。 この資料について初めて音韻面で注目したのは西田(1976)の 記述である。 本資料について先鞭を付けたものである注9が、その後西田の著作論文に於いて は言及されていない。西田(1976)で は 『三世属明言集文』が 「禅仏教に関す るアンソロジーである」こと、 「その中に収められた一文に 『音上に置くべ し』という註記がついているところがある,そ こは脚韻を押んで書かれてい る」ことが指摘され、注55も 含めると、五 ・七言頒で三カ所、三種類の押韻の 例注10が挙がる。分量は多 くないが有意義な記述といえる。 1.2 『三世属明言集文』の西夏語音韻論における価値 西夏語の音価を推定するための資料は、 『文海』などの西夏語韻書、すなわ ち内的な資料 と、漢語 との対訳語彙集(『 番漢合時掌中珠』)や チベット文字 の振 り仮名のっいた仏教文献などの他言語対音資料、言うなれば外的な資料に 大別される。 注5この文字は断片化 した部分にあり 、明確にはできな い。Kbriaxosは 漢語 「明」 に相 当す る 栃 とみなすか。硬究 者によって この人物名の推測は異なる。 白濱(1989)p.89は 「慧明」 、 史金波 ・雅森吾守爾(2000)p.41は 「慧照」 とす る。原文で確認 したと ころ、 櫃壱 「照」の一 部 に相当す る筆画が認め られたため、筆者は 「慧照」という推定 に賛同 したい。 注6白濱(1989) p.89は 「道恵」とする。 この人名の二文字 目は前出人名 「慧明」の一文字 目と 同字であり、一般 には 「慧」を指すか ら、 「道 慧」が適当で あろう。 注7正しくは 、この文字の一宇上に族姓 「陳」を示す文字 覆巳 がある。筆者による推定音は lchyinで ある。おそ らくこの人物 の姓 に相当す る。史金波 ・雅森吾守爾(2000)p.41は 「陳集 金」と考える。 注8族姓 に用い られる文 字 。推定音はlkyinで ある。 注9西田(1976) 「あとがき 5む すび」pp .32-33、 及び同頁 の注54,55に よる。注54で 西 田は 「(r三 世属 明言集 文』の)概 略 はEH. KLHamB OuepK ucmopuu max2ymcKOZO toc∂apcmea Mocgsa 1968 p.278を 参照 されたい.」 と述べているが 、正 確にはp.277か ら言及 される。 注10西田の推定音 によ って表記する と、―efi,一$の押韻、-afi,-efi, ifiの 押韻、 喝, iefi,-ifiの 押韻である。具体 的な引用 箇所 はあがつていないが、本資料 の7a「 人水道者覚受歌」中に見 られるもので ある。 一197一 筆者はこれまで内的 ・外的な資料を活用して西夏語音の研究に努めてきた。 内的な資料としては主に 『文海』 『文海雑類』という韻書により、声母 と韻母 の結合状況から韻書内の韻母のグループ分けを検討し、これに外的な資料、漢 語音 ・チベット語音 ・サ ンスクリット音などの対音資料に基づき推定音を再構 してきた注U。 この作業もいまだ十分なものとは言い難いが、異なる種類の内的 資料、今回扱 う脚韻詩注izを考察の材料に加えることは無益ではあるまい。 西夏語に各種韻書が存在することは従来から知られていたことであるが、漢 語韻書 と漢詩のような関係で、西夏詩に脚韻が見られることはほとんど確認さ れていない注13。従つて、 『三世属明言集文』中にある詩文は脚韻資料として貴 重なものといえる。 1.3 『三世属明言集文』所載の詩文 本稿で扱う詩文の西夏文原題、仮訳(漢 語逐字訳)を 列挙する。 7畷 緩 読 存 昇乏多脇 多 人水道者覚受歌 34a賭 骸 擁 麓 溝 薇 娩 」砥 甥 密矢秤if]1枡注15勧罵憂痛歌(以 降四詩の総題) 34・題 緩 轍 舵 多薩 酔子邪悟罵 35・続 婁 疵 趣 霧 眼開礼住勧 35畷 磁 禽 展 厩 欲色道障痛 37噸 轍 畷 隊 艇、 名利人滅憂716 この刊本は計51題 の詩文から成 り立つている。このうち、 祀fL袈 施 「音上に置くべし」と割注があるのは、7aの 「人水道者覚受歌」、34aの 「密 矢秤枡勧罵憂痛歌」であり、脚韻が確認できるのは 「人水道者覚受歌」と 「密 矢秤枡勧罵憂痛歌」以降の四詩(「 酔子邪悟罵」、 「眼開礼住勧」、 「欲色道 障痛」、 「名利人滅憂」)で ある。脚韻が見 られる全西夏詩の例 と訳文は参考 資料2に あげた。 注11荒川(1997 a,1997b,1999)。 注12西夏語の諺に見 られる押韻 につ いて はK bHaHoB(1974)pp.73-77に 興味深 い例が報告されて いる。 しか し諺 のそれ は対 句表 現な どに限定され、全体 を通 じて確 認で きるとは言い難 い。 注13西田(1986)の 西夏語詩 『月月楽詩』に於 いて も脚韻の押韻 は確認できない 。なお西夏詩 の 概略 について は張迎勝(1995)PP.118―124に 詳 しい。 注14「はか り」の意 。 注15 「ますがた」の意。 注16「思 う 、慮る」等の意 味を持つ。 .; 2. 『三世属明言集文』における西夏語の脚韻 2.0 西夏語の声調 ・声母 ・韻母 西夏語の一音節は、CV(C)π(T=tone)の 形式を持ち、通常西夏文字一文字 で表記される。西夏語韻書は、漢語音韻学に倣い、CV(C)/TをC―(初 頭子音) と一V(C)/T (初頭子音を除く音節の残りの部分)に 分けて記述 した。漢語音韻 学の名称に従い、以下ではこのC― を 「声母」、-V(C)/Tを 「韻母」 と呼ぶ。 西夏語には 「平声」と 「上声」の二種類の声調が基本にあつたことが韻書に よつて確認できる注17。 本稿は西夏語声母の推定音再構が主旨ではないため、西夏語韻書における分 類をもとに略述するにとどめる。 西夏語音韻学は、声母の系列を、主 に調音部位 に従って九種類 一重唇音類 (p,ph, b, m)・ 軽唇音類(f, w, v)・ 舌頭音類(t, th, d,皿)・ 舌上音類(ty,, thy', dy', ny')・ 牙音類(k, kh, g, ng)・ 歯頭音類(ts, tsh, dz, s)・ 正歯音類(c, ch, j, ny, sh)・ 喉音類 ぐ,h )・ 流風音類(1, lh, ld, z, r, zz)― に分 ける。以下で はこれ らを 「声母系列」 と呼ぶ。 ()内 に示 した下位分類のよ うに、 r文 海』な どの韻書 においては、無声無気音、無声有気音、有声音、鼻 音の順 に声 母が分類されて いた。本稿では音韻表記は筆者の表記法で統一 した。 西夏語韻母は、平声97韻 ・上声86韻 と細分化されていたことが韻書から判明 している。声調の対立を除くと、韻母の形式が同じ韻類、すなわち通韻は105 韻に分類される。韻書によれば平声と上声の対応関係は明らかになるものの、 「摂」と呼ばれるレベルでの分類、 「環」と呼ばれるレベルでの大分類注18に関 して、西夏語韻書に記述はない。そのため、再構成される音価同様、研究者ご とにこの分類も異なる。 2.1西 夏詩の脚韻 本稿で扱 う西夏詩それぞれの構成、およびそこか ら抽出した句末音節の推定 音、所属韻を付したものを以下に記す。各句の改行に関わ らず、内容上のまと まりを 「一連」とした。 注17チベ ッ ト文字 による転写資料を用 いた筆者の考察は荒川(1999)参 照 。余剰的な声調(入 声)に 関 して は史金波他編著(2000)pp.40-42参 照。 注18この大分類 はC oリpoxos(1968)で は耶m(サ イクル)と 呼ばれる。西 田(1989)に も適 当 な用語は示 されて いな いため、 ここでの呼称 は荒川(1997a)に よる。 一199一 2.1.1 「人水道者覚受歌」 「音上に置くべし」との割注を持つ 「人水道者覚受歌」は、7葉 目右頁4行 目から8葉 目左頁6行 目まで計24行 の韻文からなる。1行2句 、句間は約一文 字分空けられる。この詩歌の注 目すべき構成は、各連一句目(5文 字)の 行頭 が2文 字分下げられ、脚韻をなす文字が左隣の三句目(7文 字)と 揃えられる ことである。 各連、五 ・五 ・七 ・五言の形式をとつており、字数(音 節数)に 例外はな い。従ってこの詩歌は12連 から成 り立つことになる。 各連をグループ化したものを示すと以下のようになる。 []内 は頁と行を 表す。 第1連 [7a-4]…lshe:(平35)…2be:(上33) [7a-5]…2㎡:(上10)…21e:(上33) 第2連 [7a―6]…2se:(上33)…21e:(上33) [7a-7]…1zzenq(平61)…2tse:(上33) 第3連 [7b-1]…tje:量(平39)…2ne=(上33) [7b・2]…2myu(上3)…1ge:(平36) 第4連 [7b-3]…2te:(上33)…ltenq(平61) [7b-4]…1tshe:電(平39)…21e:1(上35) 第5連 [7b-5]…2myu(上3)…11e皿q(平61> [7b・6]…lzzenq(平61)…1ge:'(平39) 第6連 [7b-7]…2ni:(上10)…21e:冒(上35) [8a-1]…21e:(上33)…1se:(平36) 第7連 [8a-2]…1me:(平36)…1je:'(平39) [8a-3]…lzzenq(平61)…1'e:(平36) 第8連 [Sa-4]…1tshe:驚(平39)…2se:「(上35) [8a・5]…1se:(平36)…1nwl(平27) 第9連 [Sa-6]…21enq(上54)…2de:(上33) [8a-7]…2byen(上37)…1je:理(平39) 第10連 [8b-1]…21e:(上33)…lge:v(平39) [8b-2]…lse:(平36)…lge:(平36) 第11連 [8b・3]…lde:(上33)…?je:?注19 [8b・4]…gni:(上10)…1me:(平36) 第12連 [8b-5]…1jenq(平61)…1me:(平36) [8b-6]…gni:(上10)…2ni:(上10) 上記の推定音、韻母の所属番号が特定のものに集中していることから、脚韻 を踏んで記されていることは間違いない。各音節とも、声母は異なるものの韻 母は明らかに共通性を持たせたことが確認できる。 2.1.2 「酔子邪悟罵」 これ以降の四詩は七 ・七 ・七言という独特の形式で一つの連 となっている。 内容的にはこの七 ・七 ・七言でひとまとまりになっているが、特に改行されな いため変則的な七 ・七 ・七 ・七言詩のように見える。しかし一つの連におい て、最後の七言が常に同じ一文となつており、七 ・七 ・七言であることは明ら かである。 注19『文海』 、 『文海雑類 』残存部に確認できないため、反切か ら推定音 を求 めることが できな い。李(1997)p.59で は 『番漢合時掌 中珠 』の漢語対音 「尼正」か ら、声調不詳 としなが らも 両ijと 推 定 している。脚韻 の状況か らも、その推定が妥 当な もので あると考 え られるため、 こ のよ うに表記 した。 一200一 「酔子邪悟罵」は34葉 目右頁5行 目から35葉 目右頁1行 目まで11行 、計7連 か ら成り立つ。 第1連[34a-5]…ltshe:'(平39) [34a-5]…ldzenq(平61)酬 [34a-6]…lchyen(平42) 第2連[34a―6]…lje:'(平39) [34a-7]…1wi:(平10) [34a_7] … lchyen (平42) 第3連[34b-1]…lme:(平36) [34b-1]…1je:(平35) [34b―2] … Ichyen (玉四2) 第4連[34b-2]…1je:(平35) [34b-3]…1se(平33) [34b-3] … 1chyen (馴2) 第5連[34b-4]…21e:(上33) [34b-4] … ?je:? [34b-5] 。・・1chyen (玉四2) 第6連[34b―5]…lzzenq(平61) [34b-6]…21e(上33) [34b-6] 。・・Ichyen (咽2) 第7連 [34b―7]…2de:(上33) [34b-7】 …21e:(上33) [35a-1]…lchyen(平42) 七 ・七 ・七言の形式をとつており、字数に例外はない。 「人水道者覚受歌」 と同種の韻母の脚韻が確認できる。最後が同じ句になっているため、各連最終 の韻母もlchyen(平 声42韻)で 統一される。 2.1.3 「眼開礼住勧 」 「眼開礼住勧」は 「酔子邪悟罵」と行数、連数を同じくする。35頁 右側3行 目から35頁 左側6行 目まで11行 、計7連 から成り立つ。 第1連 [35a-3]…1je:響(平39) [35a―3]…2che:遡(上32) [35a―4]…2ce:(上32) 第2連 [35a-4]…1me:(平36) [35a・5】 …2ryeq'2(上68) [35a-5]…2ce:(上32) 第3連 [35a-6] ・・一?je:? [35a-6]…2se:(上33) [35a-7] … 2ce: (」二32) 第4連 [35a-7]…1me:(平36) [35b-1]…11e:(平36) [35b-1] … 2ce: (―E32) 第5連 [35b-2]…ljenq(平61) [35b-2]…1me:(平36) [35b-3]…2ce=(上32) 第6連 [35b-3】 …1ge:1(平39) [35b・4]…21he:(上33) [35b-4]…2㏄:(上32) 第7連 [35b-5]…21i:(上9) [35b・5]…2de:1(上37) [35b―6]…2ce:(上32) 七 ・七 ・七言の形式をとつてお り、字数に例外はない。また 「酔子邪悟罵」 同様、各連が同じ句で終わつているため、各連最終の韻母は等 しく2ce:(上 声 32韻)で ある。 2.1.4 「欲色道障痛」 「欲色道障痛」は36葉 目右頁1行 目か ら37葉目右頁1行 目まで15行 、計10連 から成り立っ。 注iO西田(1977) P.143で は上声54韻 として いるが、 r文海雑類』平声韻部収録字であるので、 上声54韻 に対応す る平声61韻 が適 当であろう。 劦21李(1997)p .783で は 「平声35韻 」 となっているが、 『文海』平声部には確認でき飢 平声 35韻 に対応す る 「上声32韻 」 の誤 りと考え られる。 一201一 第1連 [36a-1]…2myeq'2(上68) [36a-1]…2syu(上3) [36a-2]…1w :(平10) 第2連 [36a-2] … ?lhe? [36a-3]…21e:1(上35) [36a-3]…1w :(平10) 第3連 [36a-4]…1je:(平35) [36a-4] … 2de: (上33) [36a-5]…lw :(平10) 第4連 [36a-5]…1'e:(平36) [36a-6]…lzzenq(平61) [36a-6]…lw :(平10) 第5連 [36a-7]…2myeq'2(上68) [36a・7]…lshyen(平42) [36b-1]…lw :(平10) 第6連 [36b-1]…1'e:(平36) [36b-2] … ?je:? [36b-2]…1w :(平10) 第7連 [36b-3] … 2】yenq (―ヒ55) [36b-3]…2de:(上33) [36b-4]…1w (平10) 第8連 [36b-4]…1'e:(平36) [36b―5]…ljenq(平61) [36b-S]…1w :(平10) 第9連 [36b-6]…1tshe:,(平39) [36b―6]…2dzyen(上37) [36b-7]…lw :(平10) 第10連 [36b-7]…21e:(上33) [37a-1]…1se:(平36) [37a-1]…Iw :(平10) 七 ・七 ・七言の形式をとつており、字数に例外はない。一例上声3韻 に属す る韻母を持つほか、ほぼ前舌母音を主母音とする韻母である。上の二詩より連 の数は増えるものの、最後が同じ句になる同様の構成法をとる。各連最終の韻 母は1wi:(平 声10韻)で ある。 2.1.5 「名利人滅憂」 「名利人滅憂」は 「欲色道障痛」と行、連数を同じくする。37葉 目右頁3行 目か ら38葉 目右頁3行 目まで15行 、計10の 連から成 り立つ。 第1連 [37a-3]…21yenq(上55) [37a-3]…2de:(上33) [37a-4]…lw :(平10) 第2連 [37a-4]…21yeq。2遡(上68) [37a-5]…2de:(上33) [37a-5]…1w :(平10) 第3連 [37a-6]…21e=(上33) [37a-6]…27yenq(上55) [37a-7]…lw :(平10) 第4連 [37a-7]…lsyen(平42) [37b―1]…ljenq(平61) [37b-1]…lw :(平10) 第5連 [37b-2]…lme:(平36) [37b-2]・ ・4genq(平61) [37b-3]…lw :(平10) 第6連 [37b―3]…21enq〈 上54) [37b-4]…2shi:(上9) [37b-4]…lw :(平10) 第7連 [37b―5]…2myeq'2(上68) [37b―5]…tje:(上32) [37b-6]…iw :(平10) 第8連 [37b-6]…11enq(平61) [37b-7]…lshyen(平42) [37b_7]...lw :(平10) 第9連 [38a-1]…2myeq'2(上68) [38a―1]…21e:(上33) [38a-2]…1w :(平10) 第10連 [38a―2]…tse:'(上35) [38a―3]…lshyen(平42) [38a-3]…lw :(平10) 七 ・七 ・七言の形式をとっており、字数に例外はない。韻母の主母音は前舌 母音に限られる。各連の末句は 「欲色道障痛」のそれとほぼ等 しく、そのため 1wi:(平 声10韻)の 脚韻で統一される。 2.2資 料に見 られる脚韻の特徴 以上の五詩か ら計150の 脚韻が確認できることになるが、字形が韻書の残存 部に確認でき、所属韻を示すことができるのは内145で ある。その内訳を一覧 化すると次のようになる。通韻すると共通のものは同じ列に示 した。 禰 吾=動詞が通常であるが、ここでは脚韻が優先され、 「1nwl知る (動詞)―lli:q'2rveg,2労 苦 を(目 的語)」 と倒置法が使用されて いると考え られる。 一202一 〈脚韻に見られる韻母の所属韻と例数〉 通韻 平声韻 例数 上声韻 例数 R.3 上3 3 R.10 平10 21 上9 2 R.11 上10 5 R.28 平27 ユ R.34 平33 1 R.36 平35 4 上32 9 R.37 平36 19 上33 24 R.40 平39 12 上35 5 R.43 平42 11 上37 3 R.64 平61 14 上54 2 T.65 上55 3 R.79 上68 6 計 83 62 従って 「音上に置くべし」の注を持つ詩歌全体を通じて遡 、その脚韻の特徴 をまとめると次のようになる。 1)平 ・上両声調が混在するが、通韻すると共通の韻母である場合が非常に 多い。脚韻と考えられる韻母には、平声韻に属するもの、上声韻に属するもの ともに存在する。これ らは声調の対立を除くと同一の韻母という場合が多い。 つまり詩文中では意図的に通韻をなしたことがわかる。3.2.1で再び触れたい。 2)主 母音は前舌母音である場合がほとんどである。筆者はこれまで他言語 対音資料や韻書から西夏語の主母音(普 通母音系列)をa,i,1, u, e, o,(eu)の 六 種類((eu)は 普通母音系列にのみ見られる二重母音)と 推定したが、押韻に於 いて確認できるのはほとんど主母音がeと 推定される韻母である。若干例外と なる韻母も前舌母音iが 主母音である。3.2.3で再考する。 3)三 等韻韻母が優勢である。脚韻をなす韻母を韻書のグループ分けで調べ るなら、三等韻韻母 と考えられるものが顕著に見 られる。本稿3.2.2で扱う。 3.西 夏語の脚韻と韻書の韻母分類の関係 3.1脚 韻に見 られる西夏語韻母の分類 以下 に示す のは、荒川(1997b)に よる、西夏語の通韻 、韻母 のグルー プ化 (摂)と 下位分類の平行性 を一覧表化 したもの(参 考資料1参 照)か ら、本資 料 に関係す る部分 を抽 出したものである。'.i内 は押韻 と考 え られ るもの、 ._――….―・内は押韻が疑問視 されるものを指す。 注23五・五 ・七・五言で一連となるはずだが、各連ごとに押韻の主母音が変化すること(換 韻) はない。 一203一

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